殺戮都市
「行くぞおおおおおおっ!!」


戦う素振りを見せなきゃダメだ。


最初から逃げる気でいると、それに気付かれる可能性があるから。


この怪物を殺す気で、地面を擦るように詰め寄った俺は、右手で握り締めた日本刀を怪物目掛けて振り抜いた。


俺から見て、怪物の左上から右下へと斜めに。


それを防ごうと、怪物が盾を上げる。


刀身が盾に弾かれて、攻撃は失敗。


……と、見せかけて、俺はその反動を利用して身体をクルリと一回転させた。


怪物の横を通り抜ける為に、盾で目隠しをさせるのも兼ねている。


大きな盾、太い腕が視界を遮り、俺がどんな行動を取っているか分からないだろう。


地面を踏み締め、一気に俺は駆け出した。


盾を下げた時にはもう遅い。


「こっちももらった!!」


すれ違うタイミングで、怪物の後ろ脚を斬り付けた俺は必死に走った。


「ギャウッ!!」


流石の怪物も、守りを固めすぎて次の行動に移るのが遅れたようで、俺の攻撃を回避する事も出来ないでいた。


「じゃあな!それで追って来れるかよ!」


二本の脚を負傷して、俺に追い付けるものなら追い付いてみろ!


なんとかなったと安心したのは、中央部を抜けて東軍の街に入った時だった。
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