殺戮都市
『10分後、戦闘が開始されます。準備をして、戦闘開始をお待ちください』


怪物から逃げ切って、やっと東軍の街に辿り着いた俺の耳に聞こえたのはこの声。


嘘だろ……左腕を治す間も無く戦闘かよ。


何がまずいって、ここが光の壁際だと言う事と、戦闘開始まで10分しかないと言う事。


東軍の人間が、急いでここに駆け付ける可能性があって、すぐにでも身を隠さないと戦闘に発展してしまうのだ。


「どこか……隠れる所は」


どこかのビルに逃げ込むべきか。


それとも一気に走り抜けるべきか。


幸い全身血塗れだから、手首が赤く光っている事も良く見られなければ気付かれないはず。


これなら……なんとかなるかもしれない。


そう考えて日本刀を放した俺は、それでもなるべく人に出会わないように、大通りを避けて路地に入った。


俺の心配が的中したようで、光の壁付近に続々と人が集まって来る。


準備時間が10分なんだ。


急いで集まるよな。


それにしても皆、本当にキングを破壊する気があるのか?


どうも人を殺す事に楽しみを覚えているようにしか見えないんだよな。


そんな考えの俺の方がおかしいのか……そう思いながら路地の角を曲がった時だった。
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