殺戮都市
だけど、一瞬で俺に何が出来るんだろう。


僅かに動きを止めた所で、狩野の凶悪な強さに変わりはない。


そんな事は物ともせずに、目の前の中川を斬り捨てるだろう。


それくらいの力が、狩野にはある。


「来いよ坊主!俺がお前の目を覚まさせてやるよ!」


そう言いつつも、ウォーハンマーを両手でしっかりと持ち、防御姿勢を取る中川。


「あんたごときが私の相手になると思ってる?でもまあ、星5レアなら少しは面白いかもね。あっさり死なずに、しっかり私を楽しませてよね!」


腰を落とし、日本刀を構える狩野。


どこで動きを止めさせるべきか……。


俺の身体なのに、自由に俺が動かせないのがこんなに辛いなんて。


自分の力ではどうしようも出来なくて、中川に任せるしか方法がなかった。


何としてでも、俺を殺してくれと。


このまま狩野の良いようにされたくなくて、強くそう願うようになっていた。


どう攻めるか、狩野は考えているのだろうか。


じっくりと、中川を舐め回すように観察している。


そして……。











床を蹴って、風のような速さで中川に接近する。


ダメだ、中川は捉え切れていない。
< 561 / 845 >

この作品をシェア

pagetop