殺戮都市
『戦闘が開始されました。キングを破壊してください』
北へ向かって、街を歩いている俺の耳に、あのガイダンスが聞こえた。
俺が目覚めたのは、戦闘準備時間だったのか。
と、なると……東軍がなくなった今、南軍に攻めてくるのは北軍という事になる。
「まさか、中川とか攻めて来ないよな。そうじゃないにしても、大山田とかさ」
敵として出会って、いつの間にか仲間になったやつらとは戦いたくはないかな。
戦闘が始まり、街が少しざわめき始めた。
ここから離れた所で戦闘が始まったのだろう。
率先して防衛しようとは思えないけれど、もしも北軍のやつらがキングを破壊しようとするなら話は別だ。
襲われたら殺す。
そんな心構えで俺は光の壁に向かって歩いていた。
さすがに、まだ壁からは遠くて、敵の姿は見えないけれど、街には独特の空気が張り詰めている。
この街に来た頃は、俺もこの空気に飲まれていたんだなと懐かしく感じる。
そうして歩いていると、俺は奇妙な光景に目の当たりにした。
ビルとビルの間を抜けて大通り。
戦闘が始まったばかりだというのに、道には怪物達の姿があったのだ。