殺戮都市
この人が言う事も分かる。


だけど、戦わなければ強くなんてなれるはずがないじゃないか。


こうして女性を庇っていても、強くなければ簡単に殺されてしまうんだ。


「そうやって戦う事から逃げて、ずっと震えて生きるつもりですか?戦いから逃げて、何も掴めるわけがないでしょう!」


皆、必死に戦っていたんだ。


少なくとも俺が出会った人達は、善悪はどうあれ自分の運命を変えようと。


「お前に分かるかよ!俺だって星5レアなんて武器を持っていれば、すぐにでも北軍のキングを破壊しに行ってやる!だけどな、星3レアじゃ何も出来ないんだよ!」


中年男性を押し退け、俺の胸ぐらを掴んで怒鳴り付ける男性。


「上手く戦えば、星3レアだって戦える!そんな人間を俺は何人も見て来たんだ!」


話は平行線……そう思いそうになった時だった。


窓際にいた女性が、窓の外の何かに気付いて声を上げたのは。


「ね、ねえ……ここまで来てる。人がここまで攻めて来てる!」


その言葉に、男性は俺の服から手を放して慌てた様子で窓際に駆け寄った。


そう言えばまだ戦闘中だった。


怪物の多さに驚いて、その事をすっかり忘れていたけど。
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