殺戮都市
俺も状況を確認する為に窓に駆け寄ると……さっきまで俺がいた大通りに、北軍の人間が10人ほど進行して来ていたのだ。


「ポーンは無視、人がいたら殺してください。我々の部隊が北軍で一番強いと示す為に、ソウルは稼いだ方が良いですからね」


その中に一人、俺の見知った顔があった。


あれは……松田の部下だった木部。


松田が死んで、どうなっていたか分からなかった北軍。


この状況を見ると、内部崩壊している……とは言い難いかな。


木部は部下を従えてこうやって攻めて来ているし、基本的には何も変わらないって事か。


「あんな大人数、俺達じゃ勝てない。どこかに行くまで隠れるしかないな」


そう言って窓の外から見えないように屈んだ男性と女性。


確かに数的不利な状況だけど、戦い方でそれはどうとでもなる。


それすら考えようとしないのか。


「俺は行きますよ。あいつらに聞きたい事がありますからね。怖いならここで待っていてください」


別に男性に皮肉を言っているわけじゃない。


戦う気がない人間が出て来ても、無駄に命を落とす事になるのだから。


俺が戦っている姿を見て、少しでも奮い立つならと思い、俺は部屋を出た。
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