殺戮都市
それから、おっさんと北軍の男の話を聞いていた。


この一ヶ月で、街がどれだけ変化したか。


東軍のキングが破壊され、松田が倒された所から始まり、北軍は一時期戦力が弱まった。


それを絶好のチャンスとばかりに西軍が攻めたけど、強固な守りでキングを破壊する事は出来なかった。


逆に、それを利用して西軍を攻めたのは南軍。


運良くキングを見付け、破壊して西軍は滅びた。


この間、何度かバージョンアップが行われて、星4以下の武器が増えたのが、南軍の快進撃の要因となったらしい。


そして……あの怪物が現れた。


我が物顔で街を闊歩し、人間を見付けては殺して行く。


殺戮マシーンを倒せる者はいない。


それが、おっさんと北軍の男の話から分かった事だった。


「そんなわけで、北軍も南軍も、あの怪物による被害が甚大なんだよ。本当に強い人達はそれほど多いわけじゃない。だけど、強くなるには敵を殺さなければならない。昔よりも、殺意が研ぎ澄まされたって感じかな」


聞かされる話に、希望が持てるようなものはない。


バベルの塔に向かおうとしている俺にとって、この一ヶ月の流れは喜ばしい物ではなかった。
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