殺戮都市
おっさんがそう話しながら、裏口を探す為に移動を始めた俺達。


探すと言っても、廊下の奥に向かって歩いているだけなんだけど。


大体のビルはそこにあると思うから。


そうして、裏口に着いた俺達は、ドアをそっと開けて外を確認した。


そこは狭くて、人間なら少しは余裕もあるけれど、ポーンでも身動きが取れないほど。


ここなら、建物を破壊しない怪物は強引に入って来るなんて事はない。


「さて……ここから帰る事が出来るかどうかは運次第だね。俺は俺で別ルートで北軍に行かなきゃならないから、ここで別行動って事になるけど」


おっさんと北軍の男。


このビルに飛び込んで、短い時間だったけど奇妙な連帯感が生まれたような気がする。


「真治くん、以前に聞いたかもしれないけど、なんせ僕も年でね。忘れたかもしれない。キミが北軍に行って何をしようとしているのか……教えてくれないか?」


……このおっさんには、何をしようとしているか話しても問題ないかな。


もしかすると、一緒にバベルの塔に向かってくれるかもしれないから。


「俺は……北軍に向かって離れてしまった仲間と合流するよ。その後はバベルの塔を攻めるつもりなんだけど」
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