殺戮都市
よし……行ってみるか。


そう決意し、俺はビルとビルの隙間から顔を覗かせた。


何も、一気に駆け抜けようってわけじゃない。


次の身を隠せそうな場所まで走るだけ。


そうでなければ、いくらポーン程度では俺の相手にならないと言っても、消耗するのは目に見えているから。


日本刀を構え、飛び出すタイミングを図って……俺は路地から飛び出した。


その瞬間、俺に気付いて怪物達が一斉に視線を向ける。


見られるだろうってのは分かっていた。


だけど、見付かる事はさほど問題じゃない。


見付かっても斬り捨てれば良いだけなのだから。













「グルルル!グワアッ!!」










ポーン達が……餌と判断したのか、俺に向かって走り出す。


牙を剥き、よだれを垂らしながら。


道路を埋め尽くす程の数の怪物が、我先にと俺を食おうと。


「喰われてたまるかよ」


俺はその群れに向かって走り出し、グッと握り締めた日本刀を振り上げた。


そして、上半身を後方に捻り、飛び上がった俺は、正面のポーンの頭部に日本刀を振り下ろしたのだ。


身体を回転させながらも、次のターゲットに目を向けて。
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