殺戮都市
空中で回転する俺を、掴んで食おうとしているのが分かる。


ポーン達が手を伸ばしている姿は、まるで亡者が助けを求めているかのよう。


だけど、これに捕まってはいけない。


俺の相手じゃないとはいえ、身体の強度は普通の人間と変わらないのだから。


回転しながらポーンの腕を切り飛ばし、地面に着地した。


そんな俺を素早く取り囲むポーン達。


……さすがに数が多い。


こんなのまともに相手してたら、西側の光の壁に辿り着くのにどれだけの時間が掛かる事やら。


迫るポーン達を斬り捨てながら、チラチラと道の両脇を確認する。


怪物達が入って来れないようなビルの隙間は……しばらくなさそうだ。


「くそっ!だけど、街の中央部はもっと数が多いんだろうな」


このまま力押しで進むには、体力の消耗が不安だし、やはりどこかに隠れるしかない。


どこのビルに隠れても大した差はないだろうから、最初に目に入った、右側のビル。


ポーンを倒しながら進んだ俺は、ビルの前まで何とか辿り着いてその中に転がり込んだ。


低い唸り声を上げて、ビルの中に入った俺を睨み付ける怪物達。


殴られれば割れそうなガラス一枚。


だけどそれが、怪物達の侵入を阻んでいた。
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