殺戮都市
「屋内は人間、屋外は怪物か……外に出られるような強いやつしか、戦闘に参加出来ないって事か」


ビルの一角に身を潜めて、戦おうとしなかったあの三人。


あれが普通だったんだな。


目覚めてから、運良く怪物に遭遇しなかったからあんな事を言ったけど、もしもこんな状況だともっと早く知っていれば、無責任な事を言わなかったかもしれない。


戦わなければ強くなれない。


それは間違っていないと思う。


でも、強くなければ戦えない状況でもあるのだ。


「……また裏口かな。いや待てよ」


裏口から抜けたとしても、また道路に出なければ先には進めないかもしれない。


そう考えると、やはりタイミングを見計らって飛び出すべきか……。


ロビーでビルの中を見回して、しばらく考えた俺は、エレベーターに目をやった。


このビル……何階まであったかな。


俺があの馬鹿でかい怪物の腕を駆け上った時、途中で振り落とされたけど、その時の高さは三階くらいだったような気もする。


そんな高さから落ちたのに、俺はしっかりと着地して無傷。


もしかすると、ビルの屋上から隣のビルに飛び移るくらい出来るんじゃないか?
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