殺戮都市
「おい、まだ死ぬなよ!?俺をここに連れて来たのは、何か理由があるんだろ!?」


普段なら何も考えずに殺しているはずの怪物の命を心配しているなんて、俺はどうしてしまったんだ。


迫る人影、怪物を庇う俺。


北軍に入ったら俺が狙われる事は分かっている。


怪物も俺も、ここでは倒すべき敵なのだ。


だけどどうする?


こっちに向かって歩いて来ている人物が、星4+以上の武器を持ってたら、いくら何でも怪物を守りながら戦う余裕なんてないぞ。


そんな事を……考えていた時だった。
















「ほう……誰かと思えば。この一ヶ月間、姿を眩まして一体どこにいた?」


















聞き覚えのある声が、俺の鼓膜を震わせた。


まさかと思い、こちらに迫る人影をジッと見つめると……間違いない。















いつも見ていた、追っていた姿。


かつて死神と呼ばれた、全身黒のライダースーツを身に纏った女性。


「それにしても、怪物を守るとはどういう事だ?相変わらず奇妙な事をしているみたいだな。真治少年」


俺の前に立ちはだかったのは……間違いなく恵梨香さんだった。
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