殺戮都市
「私がそんな事を許すと思うか?少年を待ち続けた一ヶ月、慕情が恨みに変わるには十分な時間だった。一体今までどこにいたんだ!答えろ!私を放って、どこで何をしていた!!」


グッと突き付けたトンファーの先端が、俺のアゴを上に上げる。


「どこで何をって……俺は今日やっと復活出来たんですよ!気付いたら一ヶ月経ってて……この街が結構変わってて!恵梨香さん達と合流しようとしたらこの怪物に案内されて、ここまで来たんですよ!」


「嘘を吐くな!目覚めるまでにひと月掛かったなんて話は聞いた事がない!どうせ別の女と遊んでいたのだろう!その女に飽きたから私を探しに来たのか!?」


これはまずい!


アゴに触れていたトンファーが微かに離れて、次の瞬間、風を切る音と共に振り上げられた。


それが来ると予期していた俺は、上体を反らして辛うじて回避した。


だけど、それだけで終わりではない。


恵梨香さんの攻撃は、単発では終わらない。


流れるような動きで、重い連撃を繰り出すのだ。


振り上げた右手が振り下ろされるか、それとも左手に持ったトンファーでの攻撃が来るのか。


日本刀を構えた俺は、どうすれば良いか悩んでいた。
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