殺戮都市
「……動けるのなら良い。私達がこれからやる事を話すぞ。まずは飲んだくれの中川を再び仲間に引き入れる。私が何を言ってもダメだったが、少年ならもしかするとどうにか出来るかもしれない」


飲んだくれか……そう言えばそんな話も聞いたような気がするな。


俺が知らない間に、中川の身に何があったのかは知らないけど、守るものがあるんだろ?


殺されそうになっていた子供や老人を集めて、保護していたんじゃないのかよ。


そう考えると、何か無性に腹が立ってきた。


俺は大切な物を失って、中川は守るものがあるのに飲んだくれてるってのか。


松田を殺して、目的を果たしたらそれで終わりだってのか。


「どこにいるんですか?中川は」


「何だ?えらくやる気じゃないか。私が連れて行ってやるから安心しろ。少年が一ヶ月も眠っていたと言うなら、そこに行くまでに何が変わったか、詳しく教えてやる」


……何が変わったって、恵梨香さんの雰囲気も少し変わったよな。


何だか近寄りがたいオーラを出していると言うか、言葉の端々にそれを感じる。


一ヶ月か。


俺は何も変わっていないのに、周りの人は変わっているんだな。
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