殺戮都市
ビショップとクイーンか。


少なくとも、ナイトよりも強いんだろうな。


そうなると強さが変わっていない俺にとっては、脅威としか言いようがない。


出来れば遭遇したくない敵だ。


「少年が一ヶ月も眠っていなければ、今頃はとっくにバベルの塔に踏み入っていたかもしれないな」


「……それって文句ですか?俺だってまさかこんなに長く目覚めないなんて思ってなかったですから」


「冗談だよ。当時の私達では、きっと塔の内部に入る事すら出来なかっただろう。強くなるには丁度良い期間だった」


相変わらずどこまでが本気でどこまでが冗談か分からないな、この人は。


怪物に遭遇しないように、路地を歩きながらそんな話していた。


歩いて歩いて、30分は経っただろうか。


恵梨香さんに連れられてやって来たのは……あの店。


大山田が店主気取りで飲み物を振る舞ってくれた、あの飲み屋だった。


「……さあ、行くぞ少年」


ボソッと呟いた恵梨香さんの後について、店に入った俺は……それなりに広い店内なのに微かに臭う酒臭さに思わず顔をしかめた。


恵梨香さんは慣れているのか、あまり気にしてはいないようだった。
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