殺戮都市
「あら……誰かと思えば。おかえりなさい、プリティボーイ」


カウンターの向こうにいた大山田が、ごつい顔を向けてバチッとウインクをする。


正直……あまり気持ちの良いものではないけど、それでもおかえりと言ってくれる人がいない俺にとっては嬉しく感じた。


そして、その正面でグラスを持ったままカウンターに伏せて動かない大柄の男がいる。


「あれからどうなった？この様子だと、聞くまでもないとは思うが……」


恵梨香さんがそう尋ねると、大山田は呆れたような表情を浮かべて首を横に振った。


「ダメね。ずっとこうして飲んだまま。休む暇もありゃしないわ。お酒を飲んで忘れる事は出来るけど、根本的な解決にはならないのにね」


「少年、あの日……あいつが死んだ日。私と中川はあの隠れ家に戻ったんだ。でも、そこにあったのは……子供達や老人の遺体。恐らく、中川を見張っていたやつが皆殺しにしたんだろう」


どうして中川がこんな事になったのか……今までは中川があの隠れ家から大きく離れる事がなかったから、そんな被害を受けなかったのかもしれない。


それが、松田を殺す為に離れてしまったから……戦えない人達が犠牲になったんだ。
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