殺戮都市
俺はおっさんに……伊集院氏にバベルの塔に突入するという事を伝えた。


おっさんと明美さんと俺。


この街に来た時に一緒だった人達が、この街から出られる可能性を求めてバベルの塔に向かう。


何か運命のような物すら感じる。


「なるほど……だけど、北軍の罠じゃないだろうね?僕達を騙して、集まった所で殺してしまおうなんて……」


まあ、おっさんがそう考えるのも無理はないな。


今の今まで散々殺し合いをさせられて、バベルの塔に行くからそれを忘れて仲良くしろなんてさ。


時間が経過すればするほど、敵軍に対する憎しみは増大して行き、容易に信じる事なんて出来なくなるのだ。


「それは大丈夫だと思う。俺は今、北軍の人達といるけど、一緒に戦う仲間だって思ってくれてるから。今は人がいるんだよ。北軍だとか南軍だとか言ってる場合じゃないんだ」


そうは言っても、簡単には割り切れないだろうな。


この街に来て、すぐに恵梨香さんと行動を共にした俺とは違い、おっさん達は長く敵味方という枠組みの中で戦い過ぎただろうし。


「……分かった。出来るだけ声を掛けてバベルの塔に向かうよ。突入のタイミングに合わせて動くから、その時はまた連絡をくれないかな?」
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