殺戮都市
それからしばらく時が流れた。


俺達は大山田が作った、何とも言えない味の簡単な料理を食べさせられたけど、実に久し振りの食事で、食べる喜びというのを感じさせてくれた。


空腹がない分、どれだけ食っても満腹になる事もない。


不思議な感覚に包まれて、俺達はこの時を楽しんだ。


そして、再び酔い潰れた中川と、それに付き合った大山田がカウンターに伏せて寝てしまった。


残った恵梨香さんと俺は、それぞれ別のソファで横になり、これからの事を考えていた。


「もしも元の世界に戻れたら、恵梨香さんは何がしたいですか?あ、それより元の世界では何をしてたんです?」


こうして一緒にいるけど、この街の人の元の生活なんて知らない。


明らかに学生だってやつらは見ただけで分かるけど、それ以外の人達は特に。


「私か?大した事はしていなかったよ。アマチュアだけどレーサー気取りで、いつもバイクに乗っていた。意外だったか?」


「い、いえ……だからそんな格好してるんですね。意外どころか、そのままじゃないですか」


意外か?の使い所を激しく間違ってるよな。


これでモデルだーとか言ってれば……それも意外じゃないか。
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