殺戮都市
なんか、その辺りはスマホアプリと同じなんだな。


多分だけど違うのは、この街では自分の身を守る為に超激レアを求める。


ゲームでは、凄く強い人が、コレクションの為に欲しがるとかいうのもあるけど。


俺が死んで生き返ったビル。


そこを目指して歩きながら、そんな話を聞いていた。


この街では、各軍に所属はしているけど、その人達を統率する組織はない。


ただ、自分勝手に動いて、隣の軍勢と理由も分からずに戦っているだけだと、奈央さんは教えてくれた。


この街の秘密は、きっと街の中心にそびえる巨大な塔……バベルの塔にあると、誰もが思っていると。


それなのに、怪物に殺される可能性があるバベルの塔に向かうよりも、隣の軍のキングを破壊した方が良い。


怪物は殺せなくても、人は簡単に殺せるから。


人は……自分が死ぬのは嫌でも、他人の死は仕方ないと思えるのだと、奈央さんは語ってくれた。


そんな事はないと言いたかったけど……人を一人殺した罪悪感も、性欲で掻き消された俺には反論出来なかった。


「バベルの塔か……」


歩きながら、街の中心にある塔を見上げて、俺はこれからどうすべきかを考えていた。
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