殺戮都市
結論が出ないまま、どうすべきかを話している時だった。


「おい、また始まるらしいぜ」


「俺はパス、見たら気分が悪くなる」


公園の外からそんな声が聞こえて、人が東の方に走って行く。


何だ?何が始まるんだろう。


「新崎さん……人が走ってますけど、何かあるんですか?」


公園の外の人を指差して、そう尋ねてみるものの……新崎さんも分らないみたいで首を傾げる。


「さあ?なんだろうね。この街は色んな人達がいるから、個人の行動までは把握出来ないんだよね」


そう言いながら、行こうとはしない新崎さん。


特に興味がないのだろうか。


「なになに?何かイベントがあるの?気になるなら行こうよ」


その中で唯一乗り気なのは明美さん。


確かに気になるし、戦闘もまだ始まっていないから、俺達だけで動いても平気だろう。


「あ、はい。ちょっと行って来ますね。見たらすぐに戻って来ますから」


新崎さんと奈央さんにそう言って、俺達は人が走っている方に向かった。


今思えば、こんなろくでもない街で、楽しいイベントなんてあるはずがないのに。


この時の俺と明美さんは、それが分かっていなかったのだ。
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