殺戮都市
恵梨香さんの腕から抜け出し、その場に立ち上がった俺は日本刀を見詰めた。


持っただけで分かる……今までとは全然違った力が湧き上がるのが。


今なら、あの時の松田にだって負ける気がしない。


レベル100の武器というのは、これほどまでに凄まじい物なのか。


「少年……」


恵梨香さんも、何かが変わったと気付いたのだろう。


柱にもたれ、メットを脱ぐと、安心したような目で俺を見ていた。


「クイーンを殺して来ます」


微かに笑顔を浮かべて、恵梨香さんに向けた俺は、クイーンに向かってゆっくりと歩き出した。


日本刀が強くなったという事は実感としてある。


さらにもう一つ。


「やっと私と同じレベルに到達したね。これで私はあんたの身体を乗っ取れなくなったわけだ」


狩野の声が、より鮮明に聞こえるようになったのだ。


「乗っ取られてたまるか。次に乗っ取ろうとしてもそうはさせないからな」


「だから出来ないって。私が意識に侵入出来るのは、私よりレベルが低い時だけだからね」


そういう事だったのか。


それが日本刀の特性の一つで、危険性の一つでもあったわけだ。


でもこれで、狩野の力を借りる事は出来なくなったって事か。
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