殺戮都市
何だか……嫌な予感がする。


拷問する為に人を連れ去った奴らが、まともな集まりを開くのだろうか。


「さあ、まずは皆さんお待ちかね、公開処刑とまいりましょう!無抵抗な東軍のクズを殺して、ソウルを手に入れられるのは誰だ!さあ、やりたい人は手を上げて!!」


その話の途中、男二人に抱えられて姿を現したのは……多分、俺が逃がそうとした東軍の男。


あの時言っていた通り、拷問をしたのだろう。


全裸でステージに上げられた男の顔も身体も腫れ上がり、辛うじて生きていると言った様子。


腕が切断されていて、その拷問がどれだけ凄惨だったのかが伺える。


人が狂喜の声を上げて手を挙げる。


危険もなく、ソウルが手に入るという魅力に、誰も逆らえないのだろう。


ただ、俺と明美さんだけはこの状況に全く馴染めないでいた。


「な、なんか変だよ……公園に戻らない?」


俺の腕を掴んで、前後に揺する明美さん。


「う、うん。その方が良いかも」


こいつらは異常だ……人を殺す事を見世物にして、それを楽しんでいる。


こんな所から離れようとしたけど……俺達の後ろにも人が集まっていて、身動きが取れなかったのだ。
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