殺戮都市
まるで糸が切れた操り人形のように、バタリと床に倒れる恵梨香さん。


クイーンの手には、端末が握られていて……ギリギリと力を込めて握り締める。


「お、おい……何してんだよ!恵梨香さんは俺の仲間だ!!」


慌てて駆け出した。


手を伸ばし、クイーンの行動を制止するように。


床に倒れた恵梨香さんが、力なく俺に手を伸ばす。


最後の力を振り絞っているのが……痛いほどに伝わって来て……。


今ならまだ、端末を取り返せば回復出来る。


端末さえあれば……ソウルが残っていれば、たとえ死んでも生き返る事が出来るから。


そう思い日本刀を握り締め、クイーンの手から奪い取ろうと接近したけど……。

















俺の目の前で恵梨香さんの端末は、クイーンに握り潰されてしまったのだ。

















完全に力を失い、恵梨香さんの腕が床に落下する。


俺は……日本刀を投げ捨て、その落下する腕を落とさないようにと、必死に手を伸ばした。


もうダメだと分かっているのに……端末を破壊されて、死んでしまったと分かっているのに……。









俺はそれを認めたくなかったんだと思う。
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