殺戮都市
俺がこんなにも接近しているのに目を覚まさない。
乱暴に布団を捲っても、微動だにしないなんて。
「おい!何寝てんだよ!」
日本刀の刃を首に押し付け、この男が目を覚ますのを待ってみたけど……男が目を開ける事はなかった。
普通、ここまでしたら気付いてもおかしくないはずなのに。
怒りで主を殺す事しか考えてなかったけれど、部屋の暗さにも慣れて、良く見てみると顔色がおかしい事が分かる。
血の気が失せていると言うか……。
まさかと思って、その男の首に手を当ててみると……。
冷たい、脈もなくて触った時の反応がない。
「間違いない……死んでる」
そう呟いて、俺は手を離した。
これはどういう事なんだ?
こいつはバベルの塔の主、この街の主じゃないのかよ。
それなのに死んでるとか、意味が分からない。
俺達が来る前に誰かが来て、こいつを殺して行ったのか?
……いや、戦闘が行われた形跡はないし、何より外傷が見当たらない。
主が死んでるのに、この街は動いている。
だとすると……。
「こいつは主じゃない!?」
部屋の中に他に誰かがいるかもしれないと考えた俺は、素早く振り返った。