殺戮都市
それに、考える事は他にもある。


全員が生き返るという事は、この街で果てた歴代の強者や残虐なやつらも生き返るという事。


生存競争はより過酷さを増し、生き続けられるかどうかは分からなくなる。


もしかすると、最初に死んだよりも酷い目に遭う可能性だってあるのだ。


死ねもせず、生かされて嬲られ続ける可能性だって。


そう考えると、なかなかどちらか選べない。


一体、こいつは何を考えてこんな選択肢を用意したんだ。


全員生き返って、全員元の世界に戻るのはダメだったのかよ。


ベッドに横たわる、時が止まったかのような男に視線を落とし、俺はそんな事を考えていた。


「この人は……主は、二つ目の選択肢を選んだら生き返るのか?」


クイーンは、主はこの街を作ってから死んだと言っていた。


この街で死んだかと言われると微妙だけど……どうなのだろう。


「……分からない。誰も試した事がないのだからな」


クイーンにそう言われては、誰にも分かるはずがない。


俺の大切な人達が生きているなら、迷わず前者を選択しただろう。


後者を選択しても、結局誰かに殺されるかもしれない。


その思いが、俺を迷わせていた。
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