殺戮都市
ー翌日ー


朝に起きて、学校に行く支度を済ませて家を出る。


普通の学生らしい、当たり前の行動。


あの街に行く前なら、それが当たり前だと思って何も考えていなかったけど、今は違う。


俺の大切な人達は元の世界にいなくて、今でもあの街で戦っているのだ。


だけど、今の俺にはどうする事も出来ない。


本当に皆が生き返ったのかどうかは分からないけれど……生きていると信じるしかないんだ。


そんな事を考えながら歩いていた俺の肩に、ポンッと叩かれたような衝撃が。


思わず、距離を取って振り返り、腰を落とす。


いつもの癖で、日本刀を引き抜く素振りを見せるけど……当然のようにそんな物は出ない。



「な、何よ。そんなに驚く事ないじゃない」


背後から俺の肩を叩いたのは……理沙だった。


「あ……いや、何でもない」


昔から理沙は、朝のおはようの代わりにこうして肩を叩く。


こんな細かい仕草まで、本人と同じようにされたんじゃ、気付くはずがないよな。


あの街に行ったから分かる事だ。


「どうしたのよ、いつもとなんか違うよ?また親に怒られたの?それとも……」


「いや、何でもないよ、本当に」


こうやって勘繰る所も同じ。


中身が理沙じゃないならやめてくれよと、深い溜め息を吐いた時だった。












「せっかく戻れた元の世界に馴染めてないとか?」










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