殺戮都市
「あっと!4回目、4回目で死んでしまった!はい、この紳士に拍手を!」


ふざけた司会に促されて、辺りから拍手が起こる。


なんなんだよこいつらは……皆狂ってるんじゃないのか!?


それとも、この街では俺の考えがおかしいのか。


人を殺す事が当たり前の場所では、俺が異端なんだろうなと思えてならなかった。


「さて皆さん!今日はこれだけじゃありません!なんと……女子高生の捕獲に成功しました!!」


その声の後、耳をつんざくような歓声が上がる。


ここから離れようとしていた俺も、その言葉に足を止めて、ステージ上を確認する。


すると……。











「やめろよ!!離せよ!!ふざけんな!」









後ろ手に縛られて、抵抗出来なく鳴った女の子が、男に連れられてステージに上げられたのだ。


見た事のない制服に長い茶髪。


まさか理沙じゃないだろうなと思ったけど……そんなわけがないよな。










「さあ!!この若さ溢れるピチピチの肌!活きの良さ!特別にどなたかにお譲りします!!殺してソウルを稼ぐも良し!若い身体を堪能するも良し!もう、好きにしてくだい!!」










そう言われた時の女の子の表情は忘れる事が出来ない。


怒りに満ちた表情が、一瞬で絶望に変わった瞬間だけは。
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