殺戮都市
学校に到着して、教室に入っても、違和感は拭い切れない。


友達と変わらず会話をする理沙を見ていると、このクラスの連中のどれくらいの人間が本物なのだろうと考えてしまう。


中身は理沙そのもの……だけど違う。


それを知っているのは俺だけで、以前のようには戻れないという思いがあった。


そんな中……。
















「あ?なんだこれ。わけわかんねーゲームの招待状が届いたぜ」


「どんなゲームかやってみろよ」















その会話に、俺は教室を見回し、声の方を向いた。


教室の前の席、クラスメイトがスマホを片手にそれを操作している。


まずいだろ……もしもそれがあの街に行くアプリだったら。


椅子から立ち上がって、急いでそこに向かったけれど……俺の目の前で、操作していた男子生徒は床に崩れ落ちるように気を失ったのだ。



「お、おい……何だよ一体」


と、もう一人の男子生徒が慌てて声を掛けると……。


「……何でもない。ちょっと目眩がしただけだ」


そう言って、何事もなかったかのように立ち上がったのだ。


いや……何もないはずがない。


今、この瞬間からこいつの中身は入れ替わって、あの街で殺し合いをさせられる事になる。


一体誰があのメールを送っているんだ。


送り主不明のメールを……。


そう、思って辺りを見回すと。















理沙が、友達と話をしているにも関わらず、携帯電話を操作してニヤリと笑みを浮かべていたのだ。
< 840 / 845 >

この作品をシェア

pagetop