色のない世界
俺は、昔体が弱くて家での時間よりも病院で過ごす事の方が多かった。

そんな時、宗一郎に出会った。

注射がいやで逃げ回っている最中に…

最初は、何だこのおっさんっていう感じで、好きになれなかった。

でも、その日から毎日中庭で会うようになって徐々に話すようになった。

気付けば、俺は宗一郎にかなり懐いていて、宗一郎の事を宗じいと呼ぶようになっていた。

ここ505号室は宗じいが使っていた部屋だ。

見た目は、見るからに悪人面。でも、くしゃっと顔を崩して笑う姿は、当時子供だった俺から見ても子供のような笑顔だった。


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