色のない世界
――――――――――
ガチャ。

ドアが開くと琉が
「おぉ、ご苦労さん」
と声をかけた。

「いや、全然…」

「何にもなかったか?」

「特にはなにも…墓に手を合わせて帰ってた」

「墓に?」

「うん…」

「そうか…」

「でも、俺あの場所に行った事がある気がする…」

「お前が?
お前ん家の墓は違う場所にあるんだろ?」

「…うん。
だから、自分の身内とかではないとは思うんだけど…思い出せなくて」

「…お前、記憶力だけはいいからな。行った事があるのは確実だろうな」

「うん…
って、記憶力だけはって…ひどくないっすか?」

「そうか?俺、嘘つかないから。お前もよく知ってるだろ?」

「それは知ってるけど…」

「だろ?」

「そんなぁ〜」

「とにかく、いつその場所に行ったか早く思い出せ」

「分かった」


.
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