色のない世界
「それに、私の事待っててとか言ってないでしょ?」

「…言われてはねぇけど、来るって聞いたら普通待つだろ?
時間も時間だし、何かあったのかと思ったしよ…」

嫌味な事ばかり言ってきていたから、腹が立って強い口調で言い返してたけど、その時、初めて心配してくれてたんだと思った。

そう思うと、怒りが鎮まった。

「…ごめん。心配してくれてたんだよね?」

「別にそんなんじゃねぇ」

素直に一言、心配してたって言ってくれたらこんな回りくどい会話をしなくてもすんだのに…

素直じゃないのは私もだけど…

私と琉は、すごく似ているのかもしれない。


.
< 64 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop