恋バナ
ナミダ
見慣れた光景を眺めながら、私は脚を組み替えた。
昨日買ったばかりの、大きめのリボンが付いた白のミュールの中で、足先をパタパタさせていると、弾みでスルッと脱げてしまった。
プラスチックの様な白のテーブルの下を覗き込むと、向かいに4本の足が並んでいる。

『相変わらず派手な靴…!』
沙羅の10センチヒールは、ピンクというより赤に近い、クロコっぽいエナメルだった。
隣には、疲れた白の(でもグレーに見える…。)スニーカーが、完全にエナメルに向いているー。

私は最近、この時の相手の顔を観察するのがクセになってきている。


どうも大概の場合、相手は男で、こんな時必ず決まり文句みたいにこう言ったりする。





『ごめん、泣かないで。俺が悪かった。』



頭の中でフラッシュバックした言葉と重ねたように、雅之とかいう目の前の男がそう言った。
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