サヨナラと秘密を用意して。
それでも、家は教えなかった。
春ちゃんに悪い気がしたからだ。
もうすぐ年の暮れになる頃、陸が急に話始めた。
「年末とお盆は嫁の実家に行かなきゃなんだ。
だから、しばらく会えなくなるけど大丈夫?」
その場合、何が大丈夫?なんだろうか?
男の事か?それとも遊び相手の事か?
「へー。そうなんだー。気をつけて行ってきてね」
普通に言ったつもりなのに、言ってから自分でもわかる程
棘のある返事。
あー。この事か??
「あ、ごめん。言い方悪かったね。あおは大丈夫だよ」
「ごめんね」
「何で謝るの?あたしは別にただの陸の遊び相手でしょ?」
「あおはそんな風に思ってたの??俺はそんな風に思ってなかったよ。
あおに会ってから嫁とはセックスしてないし、別々に寝てるし、
他の女の子とも遊ばなくなった。ほぼ毎日一緒にいるのにわからなかった?
俺はあおが好きだよ。家族がいても、この気持ちは変わらないよ。
信じてもらえない??」
「信じていいの??」
「もちろんだよ」