サヨナラと秘密を用意して。
あえて寝てたふりをして、次の日知らない顔で返事を返した。
“おはよー。何がごめんね??”
“いや、なんでもないよ”
陸が隠すのなら、あえて聞かないでいよう。
あたしだって春ちゃんの事は隠してあるんだもん。
お互いさまだよね。
でも、奥さんとした、という事実は事実で、
あたしは許す事はできなかった。
ただ言わないだけ。無言の怒り。
月曜日にきた陸は本当に下手に出ている感じで、
見ていておもしろくなかった。
今日もセックスをしようとする陸に、
「今日、なんか体調悪いんだ。ごめんね」
と、謝りながら拒否をした。
始めから拒否する事を決めていたわけじゃないけれど、
とっさに口から出てしまったのだ。
陸は、大丈夫?と不信がる様子もなく、ずっと
あたしの体調を心配していた。
お前のせいだ、バカ。
とは、決して言えなかったけれど。