フシギな片想い
2人で暮らしている時も、度々あったけど、そういう時のママはイライラしていて、近寄り難い。
玲央さんがそんなママの様子を気に掛けて、気を遣っているのが解った。
その分、2人で暮らしている時に感じたピリピリとした緊張感はないけれど、私は経験上、こういう時は放っておくのがいいと知っていた。
ママの部屋から何か話している声が聞こえると思ったら、玲央さんが中から出てきた。「ほどほどにね」とママに声をかけ、扉を閉めた所で目が合った。
「美雨ちゃん、起きてたんだ?」
暗い廊下の先で、玲央さんがふっと笑ったのが解った。
「何か目が覚めちゃって、水を飲もうかと・・・」
階段の下を指さすと、玲央さんがこちらに近づいてきた。
「晴美さんにアップルレモネード作ったんだけど、まだ残ってるから美雨ちゃんも飲む?」
はいと頷く。玲央さんに続いて階段を降りた。
すりおろしたリンゴを入れたレモネードは冷たくて甘かった。
「晴美さん、太るとか言って夜食嫌がるから。最近、明け方まで仕事してるみたいだし、糖を取ると頭が働くっていうしね」
テーブルに座り、2人でレモネードを飲んだ。
「毎日、玲央さんもママに付き合って、起きてるの?」