フシギな片想い


そう訊ねると、「今日はたまたまだよ。眠れなくてさ」と笑った。


テスト期間で一夜漬けの時も、玲央さん温かいうどんとか、サンドイッチとか作ってくれたなと思い出した。


玲央さん、いい主夫になれますよ。


頷きながらそう思った。


「美雨ちゃん、明日の予定は何かあるかな?」


「午後から芽衣子とクラスの子たちで映画に行くけど・・・」


「そっか。今日はちょっと夜更かししない?」


突然の問いにいいけどと頷くと、飲み終わったカップと片付けた玲央さんが、ちょっと待っててとリビングを後にした。


暫くして、地球儀のような球体の機器を持って現れた。


「家庭用プラネタリウムを買ってみたんだ。試してみない?」


ニコニコしながら少年のような笑みを浮かべて、リビングの扉の前に立っていた。


断わる理由がなかったので、大きく頷いた。


せっかくだから屋根裏部屋でみたいとお願いすると、いいねと賛同してくれた。




屋根裏部屋に久しぶりに上った。引っ越した日に玲央さんに案内してもらった時以来だ。


部屋の中は暗く、採光窓には雨粒が小さな川をいくつも作っていた。さっきよりも雨の勢いが増したみたいだ。


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