フシギな片想い
玲央さんが準備をしている間、部屋の端に畳んであった薄い毛布を引っ張り出して来た。
冷たいレモネードを飲んだせいか肌寒く感じたのだ。
「よし、電源入れてみるね」
セットし終えた玲央さんが弾んだ声を上げた。
パチッと何かのボタンを押した音が聞こえると目の前に星空が広がった。
「うわぁ、キレイ」
外では激しく雨音が聞こえるものの、部屋の中には満点の星空が広がっていた。
「なかなかいいね。雰囲気出てる」
天井を見上げた玲央さんは満足そうに頷いた。
私の隣に胡坐を掻いて座った。これはもしかして、私が望んでいたシチュエーションではないか!屋根裏部屋で2人きり、毛布に包まる私と、隣に座る玲央さん。意識したら急に緊張して来た。
何か話して気を紛らわそうとしても、そういう時に限って話題が浮かんで来なかった。
あぁ、私ってダメな奴。
「美雨ちゃん、ありがとうね」
隣で天井を見上げていた玲央さんがぽつりと呟いた。何かお礼を言われるようなことしたかなぁと考えていると、
「真央のこと、気に掛けてくれてありがとう」と付け足した。
「いや、そんな気に掛けてるなんて・・・」言葉に詰まる。むしろ、玲央さんへの気持ちを知ってて黙ってくれているのは真央の方なのに。