フシギな片想い


少し経って、また扉の前でゴソゴソと物音がした。


テレビの前に移動して音楽番組を見ていた私は顔を上げた。


真央はコンビニの袋を掲げ、部屋に上がる。


着ていたパーカーをベッドの上に放り投げ、コンビニの袋を目の前のローテーブルにドサッと音を立てて置くと、私の隣にどかりと座った。


絨毯の上で胡坐を掻き、袋の中を漁る。


目の前にアイスクリームの小豆色のカップとプラスティックの小さなスプーンが置かれた。


「本当に買ってきてくれたんだ。ありがとう」


「泣べそ掻いてたくせに、パシリやがって」


泣いてたのバレてたか。


ぶつぶつ小言は言っていたけれど、それが真央なりの言い方なのかもしれなかった。


不器用だって、玲央さんから聞いてたしね。真央の不器用な優しさに心がほっこりとした。


今、気付いたけど、真央の後ろ髪の一部がぴろんと立っている。玲央さんみたいで微笑ましい。


続いて袋の中から、自分の分のバニラ味を取り出した。


「真央もアイスクリーム食べるんだ?甘いもの苦手そうなのに・・・」


そのむっつりとした顔からは想像出来ないんだけど。


「美雨の中の俺のイメージってどんなんだよ」


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