フシギな片想い


アイスの蓋を開けた真央が私に訊ねる。


おっと、すっかり忘れてた。


中身を確認して「うん、丁度いい感じ」と答えると、何も話さず2人して黙々と食べ出した。


「この間、私の友達が家に泊まりに来たでしょ?芽衣子っていう子、真央は会わなかったけど」


「よく会話に出て来る、クラスメイトの?」


そうと頷く。


真央は読んでいた漫画を閉じ、クッションに寄り掛かって、スプーンを口に運んだ。


「さっきも、芽衣子の話になってね、真央は途中で席を立っちゃったけど・・・ママが芽衣子のことを褒める度、何だか私がダメだって言われてるような気がして」


「被害妄想」


だよねと情けなく笑う。


「ママが芽衣子が娘だったら・・・なんて言うから、カッとなっちゃって、つい、じゃあ私を追い出して芽衣子を娘にしたらなんて言っちゃった。で、本気で怒られた。私って本当、かわいくないよね。ママが忙しくて気持ちに余裕ないの解ってるのに、それを逆なでするようなことしちゃって・・・」


話してるとまた泣きそうになってきたので、目の前のアイスクリームに集中した。


真央は相変わらず、無表情のまま、食べ終えたカップをテーブルの上に置いた。


「反省してるんなら、いいんじゃねぇの?美雨も晴美さんが忙しくて、構ってもらえなくて寂しかったんだろ?」



< 114 / 172 >

この作品をシェア

pagetop