フシギな片想い
「俺はここで寝るから、美雨はこっちで寝ろ」とベッドを指差しながら私に向かって告げた。
「いいよ、私、ここで寝るから」
遠慮するものの、真央の中では決定事項らしく、私の言葉は無視された。
「どけ」と言われ、テレビを消して立ち上がると、真央は絨毯の上に枕とタオルケットをセットした。
自転車を貸してくれた時も思ったけど、真央はこういう時、ぶっきらぼうになる。
恥ずかしいのか、何て言っていいのか解らないのか、それとも両方なのか。
「あ、ねぇ、胃薬って持ってないかな?」
床に寝そべろうとする真央に声を掛ける。
「何だ?腹痛くなったのか?アイスなんて食うからだよ」
自分だって食べてたじゃん。
そう言いつつも、テレビの棚から常備薬を取り出し、水のペットボトルと一緒に差し出してくれた。
「ありがとう。じゃあ、ベッド借りるよ」そう言って、真央の布団に潜り込んだ。
枕元にある目覚まし時計を確認すると12時を回った所だった。
明日も学校だし、もうそろそろ寝るとしよう。
宿題と予習は済ませてあるし、明日の教科の準備もしてある。
ママは玲央さんが起こさないと起きて来ないから、ちょっと早めに起きて制服に着替えて、さっさと学校に向かってしまおう。
それがママと鉢合わせしないベストな方法だ。