フシギな片想い
「こういう機会って滅多にないから、嫌だったら無理に答えなくていいよ。いつも私の愚痴を聞いてもらってばかりだから、今日は真央のことを教えて」
「・・・」
返事はなかったけれど、話を続けた。
機会があったら真央に訊いてみたいと思っていたことだ。
「真央は自分の両親のことどういう人なのか知ってるの?」
「・・・」
沈黙。
やっぱり、始めからストレート過ぎたかと反省する。
じゃあ、玲央さんのことを・・・質問を変えようとした所でぼそりと声が聞こえてきた。
「・・・正直、知らないし、全く記憶に残ってない。お兄とは父親が違うらしい。ガキの頃は自分の身の上が気になって、お兄に迫ったこともあるけれど、結局、お兄は何も答えてくれなかった」
以前ママが推測した通り、真央と玲央さんは異父兄弟だった。
「お兄は俺よりも10歳年上だったから、色々理解してたんだろう。真実を伝えるのがお兄にとって辛いことなら、そのまま黙ってくれていいって思った。だから、俺は実の親については何の情報もない」
「知りたくないの?」
「知りたくない。・・・きっと知るのが怖いんだ。だったら、兄弟2人、今のままでいい」
今のままでいい・・・か。玲央さんが決して口にしないのなら、相当辛い目に遭ってるに違いない。
捨てられたとか?それとも、残虐的に殺されたとか?いやいや、考え過ぎだ。きっと、玲央さんは真央を傷つけたくないんだろう。