フシギな片想い


「お前は?父親のこと知りたくないの?」


今度は真央が訊ねた。


「実は、お母さんの実家で暮らしてた時にお婆ちゃんに訊いたことがあって、不倫とか浮気とか当時はよく意味が解らなかったけれど、とにかくすごく批判してるのが解った。結局、今何してるのか存命なのかも解らずじまいだったけど。いつもは優しいお婆ちゃんが、すごい剣幕で罵ってたから、これは訊いちゃいけないことなんだって子供心に思ったなぁ」


そういえば、ママとお婆ちゃんの関係がギクシャクし出したのも、その辺りからだった。


家に帰ってくると言い争いをしてて、私が不安そうに扉の陰から覗いてたら、あっちに行ってなさいってよく怒られた。


もしかすると、ママの仲たがいって、私がお婆ちゃんに父親のこと訊いたからかもしれない。


そう考えてみたら、真実を知って傷つくよりも、知らないでいた方が幸せなことってあるのかも。


「真央は玲央さんにいつママを紹介されたの?正直、どう思った?」


「紹介されたのは2人が付き合い始めてすぐの頃、晴美さんの印象聞いてどうすんだよ・・・」


「教えてよ、内緒にするから」


ふぅと溜息をついて、真央は呆れているようだ。


「・・・正直、マジかよって思った。晴美さんには言うなよ。見た目若いけど、歳を聞いて驚いた。普通に親くらいの歳じゃんって」


やっぱり、普通だったらそう思うよね?


賛同出来て、少し嬉しい。


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