フシギな片想い


学校を出る時に、ポツポツと降り出した雨は、桜並木の坂道を下った頃には、本降りになっていた。


芽衣子を駅まで見送り、駅前のスーパーに寄ってから外を出ると、弾丸のような激しい雨に変わっていた。


屋根のある場所で雨宿りをし、空を眺めてみたものの、一向に止む気配はない。


傘はあまり役に立たなそうだけど、家に帰ったらすぐにシャワーを浴びればいいかと、ずぶ濡れになるのを覚悟で雨の中に飛び出した。


急ぎ足で帰るものの、道路には滝のように水が流れている。


坂の上から流れ落ちて来てるようだ。


瞬時に靴の中まで浸水した。


あぁ、靴下が濡れるのって気持ちが悪い。


カバンが濡れないように抱えて、家路を急ぐ。


家に着く頃には制服から水が滴り落ちる程、ずぶ濡れになっていた。


いつもは閉めてある玄関の鍵が開いていたので、驚いた。


家の中に誰かいる。玲央さんもママも仕事をしている時間だし、いつも一番乗りで帰宅するのは私だ。


もしかして、真央かも?と思った。


玄関でソックスを脱ぎ、そのまま、ランドリールームに向かった。


とりあえず、タオルで濡れた髪を拭う。ランドリールーム置いてあったフード付きのワンピースの部屋着に着替えて制服を乾燥機にかけた。


< 126 / 172 >

この作品をシェア

pagetop