フシギな片想い


シャワーでも浴びようかなと階段を上ると、奥の部屋からママが出て来た。


「あれ?ママ、もう帰って来てたの?」


「そう、今日は早く切り上げたの」とママは含み笑いを浮かべている。


仕事着のパンツスーツとは違う、女性らしいシフォンのワンピースを着ている。


今日は玲央さんと恋人になった記念日であるらしく、今夜は2人きりで食事に出かけると、前から聞いていた。


玲央さんは記念日を大切にするマメな男の人なのだ。


だから夕食のお弁当をスーパーに買いに行ったのだ。


真央の分と私の分。


お化粧をばっちりして、着飾ったママは、いつもよりも更に若く見えた。


年下の玲央さんと付き合ってから、若々しさに磨きがかかったみたいだ。


嫌だなぁ、恋をしてキレイになっていくママにヤキモチ。


ママは階段の手すりに頬杖をつき、ニヤニヤしながら私を眺めているので、「何?」と訊ねると、


「何で美雨がここの所、ママに冷たいのか理由が解っちゃった」


と小脇に抱えていたノートを取り出した。


それって、私のダイアリー?確か、その中には・・・


「私の部屋に勝手に入ったの?」


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