フシギな片想い
「時間があったから、たまには掃除機でもかけようかなって思って、そしたら机の上にこのノートがあって、思わず手に取ったら、中から・・・」
「やめて!」
思ったよりも大きな声が出て、ママが驚いた表情になる。
ママが掲げた私のダイアリーからひらりと何かが落ちた。
床に写真が1枚。
夏期講習の最後の日に撮った玲央さんとの2ショット写真だ。
緊張した面持ちの私と、その隣でにっこりと微笑む玲央さんが写っている。
「いきなり、大きな声出して、びっくりしたじゃないの」
ママはそう言うと、しゃがみ込んで床に落ちた写真を拾った。
「どうりで結婚反対って言い続けるわけね。これって、小6の時に受けた夏期講習?びっくりしたわ、玲央が塾講師のバイトしてたなんて。今より幼い顔してる。この写真を今でも大切に持ってるってことは、玲央が初恋の相手だったのね」
ママは目を細めながら写真を眺めて、ダイアリーにそっと戻した。
「初恋って一度きりしかない、ステキな思い出だものね。そりゃあ、びっくりするわよね、ある日、ママの恋人ですって紹介されたら」
本当、すごい偶然ね。
玲央を選ぶなんて、やっぱり親子ね。
ママは、玲央さんの初恋を私の過去の思い出として、話している。