フシギな片想い


痛い、苦しい、痛い。


破いた写真を1枚1枚拾って、天井に目掛けて放り投げた。


ひらりひらりと舞い落ちて来る欠片は一瞬で紙屑になった。


写真が無くなったら、心がもっと痛くなった。


玲央さんの、ママの、匂いが染みついたこの家にいるのが嫌になった。


頬を伝う涙をワンピースの袖で拭った。


財布とケータイの入った学校用のカバンを握りしめ、階段を駆け下りた。




周りの音を全てかき消すような雨音が続いている。


いつの間にか辺りは闇に包まれていた。


どれ位ここにいて、こうして膝を抱えていたんだろう?思い出せなかった。


「電話だなっしー 電話だなっしー ぶしゅううぅぅ・・・」


カバンの中から気の抜けた着信音が聞こえてきた。


ふと我に返ったのも、さっきから心情とは裏腹に、陽気な着信音が響いているからだった。


鼻を啜りながら、ガサガサとカバンを漁った。


ずっと同じ体制でいたせいか、体中が痛い。


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