フシギな片想い
頭の中もぼんやりとしていた。
ケータイを取り出し、着信を確認する。
真央からだった。
出ようか出ないか躊躇している間に、電話は切れてしまった。
着信確認をすると、真央は何回か私に電話を掛けてくれてるようだった。
静けさが戻ると、また雨音が勢いを増して聞こえた。
ケータイを握り締め、膝小僧の上に顎を乗せた。
今の時間ってことは今日はバイトだったのかな?家に帰って誰もいなかったら、いくら真央でもびっくりするよな。
ぼんやりとそんなことを考えていたら、「ぶしゅううぅぅ・・・」とまたケータイが着信を知らせた。
音が籠るこの場所で鳴り響く着信は、まるでスピーカーから流れているようだった。
片耳を抑えながら、電話に出た。
「お前、どこにいるんだ?」
こちらが答える前に真央がそう訊ねた。クールな真央が珍しく、息を弾ませている。
どこって・・・言いたくないし・・・
「・・・芽衣子んち、今日は帰らないから。真央の分のお弁当は食卓の上に・・・」
「また、家出か?・・・晴美さんと何があったんだ?」