フシギな片想い


変に感づくのやめてよ。


真央の言ってることは無視して、話を続ける。


激しく雨音は地面を打ち付ける。


「・・・2人とも、映画観て帰るから遅くなるって・・・」


噛み合わない会話に、電話越しで真央は長い溜息を吐いた。


少しの沈黙。


電話の向こうからも激しい雨音が聞こえる?もしかして、真央も外にいるの?


「・・・もういい」


真央は諦めたように、電話を切った。


折角、差し伸べてくれた優しい手を払いのけてしまった。


電話が切れた瞬間、ぶわりと涙がまたこみ上げてきた。


私は何をしてるんだろう?真央にまで迷惑掛けて、頭では解っているのに、上手く振る舞えない。


情けないけれど、あの家に帰りたくなかった。


嫉妬や自己嫌悪でドロドロの私に蓋をするのにはもう限界だ。


この打ち付けるような雨が私の汚い心も洗い流してくれたらいいのに・・・


ぐすんぐすんと鼻を啜る。泣いてもどうしようもないのに、涙は次から次へと流れて来た。


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