フシギな片想い


家を飛び出した私は、近くの公園に来ていた。


いつか真央が自転車で迎えに来てくれた公園だ。


大きなタコのすべり台が目印の小さな公園。


今日は雨が降っているので、すべり台の一部に作られているトンネルの中で、雨宿りをしていたのだ。


「行動がワンパターン」

「友達んちに行くって言っといて、弁当2つ買ってるし」

「乾燥機に制服入ったままだし」


嘘を吐くのが下手くそだと真央にダメ出しを食らってしまった。


解っているよ、自分の考えがいつも浅はかなのは、だから勢いまかせに家を飛び出しても、いつもママはお見通しなんだ。


「帰るぞ。こんなとこにいつまでもいたんじゃ、風邪引くぞ」


「・・・嫌だ」


はぁ?と真央を眉間に皺を寄せた。


整った眉毛が怖さを倍増させる。


「ガキかよ・・・面倒くせぇなぁ・・・仕方ねぇな、俺の部屋にまたいれば?」


真央が善意で言ってくれてるのは解る。


私の玲央さんに対する気持ちを知ってるし、その思いを諦められないのも知ってる。


暴走して、潰れそうな私の思いを、いつもギリギリの所で繋ぎ停めてくれるのは真央だ。


< 135 / 172 >

この作品をシェア

pagetop