フシギな片想い
降り続いていた雨音がピタリとやんだ。
目の前がセピア色の光景に変わる。
「待って」
「待ってよ、行かないで」
ぬいぐるみを抱えた小さな女の子が必死に叫びながら、誰かを追いかけている。
「行かないでよ、ママ」
叫んで、追いかけて、前を歩くママに手を伸ばす。
あれは・・・私?
「・・・傍にいてよ・・・手、繋いでて・・・」
目が覚めると、目の前に白い天井が見えた。
ぼんやりとする頭でここはどこだろう?と記憶を辿った。
消毒液と薬剤の苦味のある匂い、清潔感のある真っ白な布団に、ここが病院なのだと理解した。
右手に温もりを感じて、ベッド脇に視線を移すと、真央がうつ伏せになってベッドの端で寝息を立てていた。
私の右手には真央の左手がしっかりと握られていて、疲れたのか眠ってしまった真央は、寝顔だと幼く見えた。
変な夢を見た。